
単価が上がらなくてしんどい……
「営業して値上げ交渉」とか勇気が出ない……
体験者を取材して単価が動いた瞬間を一つずつ見ていくと、わかったことがありました。
単価は「気合い」や「交渉のうまさ」で上がるものではない。
| 体験者 | 主な案件 | 初期の単価 | 現在の単価 |
|---|---|---|---|
| 山田さん | YouTube長尺・ショート | 1,000〜2,000円 | 3,000〜5,000円 |
| Reoさん | YouTube・ディレクション | 5,000円 | 10,000円 |
| 棚橋さん | 企業向け・YouTube | 8,000円 | 40,000円 |
| けいたさん | AI字幕動画 | 2000円 | 5,000円 |
| 富島さん | ショート・広告 | 2,000円 | 8,000円 |
| 夢子さん | ゆっくり動画 | 5,000円 | 10,000円 |
| りなさん | YouTube横動画 | 4,500円 | 6,000円 |
| ハマダさん | 企業向け縦型ショート | 1,000円 | 5,000〜10,000円 |
- 時間単価を上げる
- 高単価ジャンルに乗り換える
- 単価アップ交渉をする
取材した方々は上記3つの方法のどれかで、
実際に低単価のループから抜け出していました。
- 体験者達が実際に何を行って、単価を上げたのか
- クライアントとWin-Winになる単価交渉の仕方
取材した動画編集者全員が通った「低単価地獄」
単価を上げた人たちは、ほぼ全員、その手前で「低単価で消耗する時期」を通っていました。
実績作りのため、1本500円や1,000円の案件を受け続けた時期がありました。
ところが安すぎる案件はクライアントの質も悪く、修正を10回以上求められて時給換算200円に。
「無限修正で消耗するだけだった」と振り返ります。
初めて受けた案件は「尺10分・5,000円」。
でも初めてのPremiere Pro、初めてのジャンルで、編集に20時間かかってしまった。
時給に換算すると、250円。
「カットとテロップがメイン」という募集に応募したら、
実際はほぼフルテロップ+細かい効果音指定+修正多数。
1本に8時間以上かかり、単価に全く見合わない赤字案件になってしまった。
全員がやっていた「最初の一手」
この地獄から抜けるために、彼らがまずやったこと。
それは「最低単価のラインを決めて、それ以下は受けないと決断する」ことでした。
先ほど紹介したまほさんを例に挙げてみます。
まほさんは、半年ほど受注を続けたあるタイミングで
「ショート動画1本3,000円以下は受けない」と線を引きました。
すると、単価帯そのものが底上げされました。
「最低単価のラインを決める決断は、目先の収入を一時的に減らしてでもやる価値があった」
目先の数千円を取りにいくより、安い案件を手放して、
正当な対価が得られるフィールドを選んでいく方が、結果的に近道になります。
単価の上げ方①:時間単価を上げる
最初に取り組むべきなのが、「時間単価を上げる」やり方です。
1本5,000円の案件を5時間かけていたのを2時間で仕上げられれば、もらう額は同じでも時給は1,000円から2,500円になります。
つまり単価そのものを上げなくても、作業を効率化すれば時間あたりの稼ぎは上がる。相手との交渉もジャンル変更も要らず、自分の工夫だけで完結するので、一番すぐ手をつけられます。
夢子さんのアプローチは、自分の手を速くするより、「ミスを出さない仕組み」をAIに作らせることでした。
育児の合間の細切れ時間しか取れないからこそ、手戻り=修正は致命傷になる。
そこで、編集ソフトのAI機能で不要な無音を一気にカットし、それをVrewに読み込ませて字幕を自動生成。さらに出てきた字幕をChatGPTに通して、誤字や日本語の違和感を客観的にチェックさせる。
「人間がやるべき”演出”の前に、AIにできる”ミスの検知”を仕組み化した」
その結果、納品前チェックの精度が上がり、修正依頼そのものが激減しました。
速くするだけでなく、やり直しを消すことで時給を守っています。
まほさんが「一番効いた」と言い切るのが、テロップのテンプレ化でした。
よく使うテロップ30種類をMOGRT(再利用できるモーション素材)として保存し、案件ごとにゼロから作るのをやめた。
結果、それまで2時間かかっていたテロップ作業が、15分に。
ショート1本あたりの作業時間も、4〜5時間から2時間前後まで縮みました。
本人の言葉が、この上げ方の本質を突いています。
「作業時間が半分になれば、実質時給は2倍。単価交渉と同じくらいのインパクトがある」
りなさんが「編集スピードアップにはこれがマスト」と断言するのが、
ショートカットキーの徹底カスタマイズ。
本業と子育ての合間、稼働できるのは子どもが寝た22時以降など限られた時間だけ。
だからこそ、マウスとキーボードを往復する数秒の無駄を、自分の手に馴染むキー設定で削り切る。
派手さはありませんが、限られた時間で本数をこなすワーママにとって、操作の速さがそのまま収入に直結しています。
この上げ方のポイント
誰でも今日から手をつけられて、効果が計算できる土台です。
上げ方②:単価の高い案件に乗り換える
単価が一番大きく跳ねるのがこの上げ方です。
受ける相手やジャンルを変えると、単価帯がまるごと上がります。
ジャンルを変える
単価が低かったTikTokの縦動画から、ビジネス系のYouTube横動画へ特化。
「縦動画は単価が低い傾向があったので、横動画メインに切り替えた」と、意図的にジャンルを選び直しています。
ショート動画中心から、結婚式ムービーへ。
ジャンルが変わったことで単価帯が一気にジャンプし、初期は時給500〜800円だったのが、現在は3,000〜5,000円に。約6倍になりました。
客層ターゲットを変える
棚橋さんは、受ける相手そのものを変えました。
個人YouTuber中心から、企業案件(社内動画・セミナー・ショート広告)へシフトしたところ、単価が1.5〜2倍に。10分の動画が約8,000円から、3〜4万円になりました。
「個人のYouTuberだと、どうしても予算に限界がある。
予算をしっかり確保している企業を相手にするのが、手っ取り早い単価アップのコツ」
この上げ方のポイント
大きく跳ねる代わりに、新しいジャンルへの対応力や、新規の相手を取りにいく営業が必要になります。
「単価の高い案件」は、どこで取れるのか
ただ難しいのは、単価の高い案件にどう出会うか。
クラウドソーシングは買い叩きが起きやすく、まほさんも「30件応募して全滅」を経験しています。
一方で棚橋さんは、スクールのコミュニティ経由で、買い叩きの少ない案件に最初から接続できていました。
案件の質という観点でスクールを見ると、選び方が変わってきます。
上げ方③:今の案件の中で単価を上げる
すぐに高単価案件へ移れる人ばかりではありません。今ある案件の中でどう上げるかを考えることも、重要です。
ただ、単価アップは「お願い」では動きません。
上げてもらいやすい状態を先に作る、この順番が全てです。
このルートは2段階に分かれています。
① まず「次も頼みたい人」になる
単価が上がる前に必ず起きていたのは、「この人なら任せやすい」という信頼の蓄積です。


単価を上げたいなら、先に以下の3点を確認するようにしてください。
- 納期は安定して守れているか
- 連絡の仕方で相手を疲れさせていないか
- 指摘されたことを次回に活かせているか
② 単価交渉の根拠を作る
信頼が積み上がったら、次は提供できる価値の範囲を広げることが交渉の根拠になります。
棚橋さんは編集だけでなく、サムネイル・YouTube運用・企画・台本・撮影・数値分析まで少しずつ巻き取っています。
「どう言えば上げてもらえるか」ではなく、任せる範囲が広がっている状態を先に作ったのです。
アップロード作業の代行を提案する
まずは編集作業で数本納品し、信頼関係を作ります。
そのタイミングで「よければ、YouTubeへのアップロード作業までやりますよ」と提案します。
アナリティクスを無償で分析・提案する
アップロード作業を任せてもらうと、そのチャンネルの裏側のデータ(アナリティクス)が見られるようになります。
その数値をしっかりと分析し、「無償で」企画案を出したり、最初はサムネイルも無償で作って提案したりします。
運用業務込みで正式発注につなげる
クライアントからすると、作業ごとにバラバラに発注するより「一人の人に丸投げして任せたほうが圧倒的に楽」です。
そのため、この提案は非常に好意的に受け止められることが多く、提案を気に入ってもらえれば、次回からは「運用業務込み」での正式な発注に繋がります。
この上げ方のポイント
「これもできます」と作業の幅を広げると、同じ相手でも単価が変わります。
正面から値上げを切り出す必要がないので、交渉が苦手な人ほど効くやり方です。
まとめ
単価は、才能でもセンスでも、交渉のうまさでもありません。
時間単価を上げる、単価の高い案件に乗り換える、同じ相手で交渉する——取材した人たちは、この3つのどれかを選んで、低単価から抜け出していました。
特別なスキルがあったわけではない。自分の状況に合った「上げ方」を選んだだけです。
だからまずは、今の自分に一番近い一手から始めてみてください。
単価の上げ方は、独学、スクールどちらも可能です。
実際、独学組もしっかり単価を上げています。
ただ、最初の遠回りを減らしたいなら、学び方を一度整理しておくのもおすすめです。






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